Implementation 支援事例

大学附属聖ヶ丘中学高等学校

慢性的な人手不足が課題の広報体制でも実現できた
入学者129%アップにつながったデジタルを活用した情報発信

多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校は、都内にありながら1学年あたり約120名、少人数制できめ細やかな学習環境を提供する男⼥共学の中⾼⼀貫校。2018年度より夏季特別講座「A知探Q(英知探究)」を開始。2022年度からは⾼校1~2年を対象に毎週⽔曜午後を探究学習に特化した授業枠となる「探究ゼミ」をスタート。「本物」「本質」にこだわる教育をテーマに、実験や体験型の学びを数多く取り⼊れた学びを実践しています。

今回は、広報対策部 部長の吉岡和真先生、副部長の村井優友先生に、これまでの生徒募集における課題とデジタルを活用した広報戦略を取り入れた後の変化を伺いました。

※本記事は2025年1月時点の情報となります。

Interviewee

多摩大学聖ヶ丘中学高等学校
入試対策部 部長     入試対策部 副部長

和真 先生 村 優友 先生

多摩大学聖ヶ丘中学高等学校

入試対策部 部長

和真 先生

入試対策部 副部長

優友 先生

  • 小規模校ゆえの慢性的な人手不足で訪問活動も十分にできていなかった
  • 広報発信力が弱く、学校情報が受験者層になかなか届かない

  • デジタル活用による情報発信の強化が、そのまま入試イベント集客増につながっていった
  • イベント申込のタイミングが早期化し、新規層の参加割合も拡大
  • 学校の情報や特色を把握したうえで、イベントに参加いただいている方が多い

  • 受験者数が前年比132%アップ
  • 受験者が拡大したなかで歩留まり率もアップ、最終的な入学者は前年比の約1.3倍

生徒ファーストの考えと広報業務の両立の難しさ
広報発信力が弱く、多摩大聖ヶ丘の魅力を届けきれていない現状

これまでの広報活動の課題についてお伺いできればと思います。

吉岡先生:一番大きな課題としては、小規模校ゆえの慢性的な人手不足でした。本校は1学年120名ほどの少人数制の学校であり、専任教員も40名ほどの環境になります。広報対策部は5~6人体制で、塾訪問などの渉外活動は広報担当だけではカバーできないため、全教員で分担し対応している状況でした。本来は年に2~3回は訪問をしたいという目標を掲げていましたが、実際は年に1回しか訪問できないという時期もありました。当然、授業や生徒対応が第一優先という考えですが、もっと効率的に自分たちの学校をPRできないか?ということを常に考えていましたね。
 
村井先生:一方で、生徒ファーストで面倒見の良い学校という部分は自信があったので、本校の説明会に来場していただいた方の満足度は非常に高かったです。実際にイベント参加者が最終的に受験いただける割合が高いことも把握できていたので、限られたマンパワーで優先したことは「説明会来場者を中心に学校のファンを増やす」ということでした。

当時の広報活動について語る吉岡先生と村井先生

説明会来場者への対策としてはどういった工夫をされていましたか?

村井先生:一時期はイベント予約システムに登録いただいた情報を活用し、説明会参加者向けにメール配信しフォローアップしていく対策も実践していました。ただ、メルマガ施策も担当者が異動になると展開が止まってしまうなど、体制や継続性の課題が残りました。また、情報発信はしているものの反応が見えてこない、メール自体を読む人が減っているのでは?という疑問もありました。
 
吉岡先生:とは言いながらも、入試広報としてはもっと多くの方に本校のことを知ってほしいですし、来校いただきたいというのが本音で、「学校情報を広く届けていく」という課題は残ったままという状況でした。

対外的な広報発信としてはどのような対策を実施してきましたか?

吉岡先生:受験冊子や問題集など従来型の紙媒体への広告もやってきましたし、受験生や保護者の方の学校情報収集がデジタル中心に変わっていくなかで、いわゆる受験情報サイトなどWEB上での広告も展開してきました。紙媒体の効果測定が難しいのでWEB媒体を活用するという考えでしたが、受験サイトも様々な学校紹介記事が横並びに掲載されているのがほとんどなので、実際はどの程度自分たちの学校への流入につながっているかは見えてこなかったです。
 
村井先生:また、対外的な発信を強化する必要性が見えたなかで、私が懸念していたのは塾の先生も含めた関係者から見た学校イメージでした。「多摩大聖ヶ丘=面倒見の良い学校」という印象もあり、どちらかというと本命というよりも第2・第3志望の学校というイメージが強かったと思います。
ただ、この時期は2018年から始まった探究活動が拡大し、2022年に探究学習に特化した授業枠を設けることとなり、多摩大聖ヶ丘は「学びを楽しむ力を育み、自分の可能性を広げていく学校」という軸が確立してきたタイミングでもありました。そういった点からも、学校のイメージを変える=ブランディングにつながる情報発信はどのようにすればよいか?当時は具体的な対策が導き出せていませんでした。

多摩市役所の職員の方々が職員室に常駐し、地域と連携した探究活動をサポート
東京ヴェルディのホームゲームで独自のスポーツイベントを企画・実施

学校説明会来場者の反応は良い
あとはどうやって新たな受験者との接点を増やすか?

そのような時期にご縁があって、PLANEdが多摩大聖ヶ丘さんの広報活動の状況についてお話しを伺う機会があり、その後サポートさせていただくことになりましたが

吉岡先生:全国の私立学校の広報活動状況を取材されている会社だと伺い、Zoomでお話しすることになりました。実はあまりオンラインでのミーティングはしないタイプだったのですが、どうやって潜在的な受験者を引き込むか?といった、PLANEdさんが考えるデジタルマーケティング戦略にピンときて、なぜか「相談してみたいな」と思ったんです。
実際に我々の広報活動の現状をお伝えしながら、色々な質問にも丁寧に答えていただけました。単なる営業ではなく、学校目線で相談にのってくれる姿勢が印象的でしたね。そこで導かれた方向性も「潜在層へのアプローチを広げる戦略」でしたので、非常に納得感がある対策だなと感じたのを覚えています。
 
村井先生:本校が広報体制に課題を抱えていたなか、PLANEdさんはコンサルティングにとどまらず、デジタル上の戦略からLINE公式アカウントの運用までお願いできる点は大きかったですね。点は大きかったですね。外部パートナーにはなりますが、本校の広報対策部のメンバーの一員としてデジタル上での継続的な情報発信をサポートしてくれている、という実感はあります。

受験生向けのLINE公式アカウント

説明会の集客に直結、イベント申し込みが早期化
最終的な入学者数は前年比129%アップ

実際にデジタル戦略を導入後、どのような変化がありましたか?

吉岡先生:2023年の秋から本格的に展開が始まったのですが、前年と比べて説明会参加者数がわかりやすく増え、「ここまで集まるのか」と率直に驚きました。イベント申し込みも早期化し、すぐに締め切られたことで、説明会の時間枠を追加したりなどもありました。イベントとしては3回目となる10月の説明会は初参加が70%を占め、この時期にこれだけ新規層が入ってくることは過去なかったです。多くの方へリーチが広がっている実感がありましたね。
 
村井先生:説明会の現場で感じたのは、参加者の「数」だけでなく「質」の変化ですね。以前と比べて説明会での質問内容など、明らかに反応が変わってきています。事前にデジタル上で接点を持てたことで、学校特色をある程度理解したうえで説明会に参加する、という流れが構築できていると思います。周りの方から本校のことを聞いた、といった話も増えているのでこの調子でいきたいですね。
 
吉岡先生:実際にデジタル戦略を導入した初年度(2024年入試)の受験者数は前年比で132%アップしました。受験者数がこれだけ増えたなかで歩留まり率も37%→40%と3ポイント高まったのが驚きで、最終的な入学者数は前年比129%に拡大することができました。

今後の生徒募集活動のビジョンを教えてください

村井先生:「探究的な学び」という本校の特色をしっかり理解し、主体的に学ぶエネルギーがある生徒、好奇心がある生徒に来てもらえるようにしたいです。「なんとなく」ではなくて、「楽しそうだからここに行きたい」という人がもっと増えてほしいと考えています。
 
吉岡先生:同時に説明会来場者の「質」の変化にともなって、「説明会の内容も変えていかないといけない」と考えています。具体的には学校の基本情報を知ってくれている方に対しても「ここが聞きたかった」という深堀りができる説明会にしていきたいです。そのためには学校説明会と入試説明会を分ける必要もあるかもしれないですね。以前までは学校の基本情報から伝えなければならなかったのですが、今後は具体的な探究活動の紹介など、好奇心旺盛な受験生に刺さる内容を考えていきたいと思います。
保護者の方からは多摩大聖ヶ丘は「生徒はもちろん、先生も楽しそうですね」というコメントをよく聞くんです。そのマインドを意識しつつ、本校の魅力を皆さんに届けていきたいですね。

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